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Conviction(3)

2015.06.10 11:50|Conviction
Conviction(3)

その日の未沙もいつもと変わった様子はなかった。
いつものように出勤し、任務をこなす。
いつものように、一分の隙もなく、完璧に。

その日に限らず、あのシティ攻防戦の日からも、傍目には彼女には何の変化も認められなかった。
輝がパトロールの報告書を持って総司令部にやってきたときも、ごく普通に対応していた。
輝の方もそんな未沙に普通に対応するしかなかった。
・・・というか、あの雪の中での2人を目撃していた3人娘の熱い視線が気になって
そうするしかない、という事情も、輝には多少あったのだが。

だが、クローディアはあの雪の日以来ずっと2人のことが気になっていた。
あの時、素直にかけたつもりだった、自分の言葉に対する未沙の複雑な表情、そして呟き。
それ以上何も言ってこない未沙。
─何か言ってきたら話を聞いてあげよう。
─でも、言ってこない以上は余計なお節介はしない方がいいだろう。
─うまくいけばいいけれど。
クローディアはカップを手に未沙の傍へと近づいた。
「紅茶、飲まない?」
クローディアの言葉に未沙は端末から顔を上げた。
「いただくわ。ちょうど一息入れたいな、と思っていたの。」
笑顔でそう答える未沙は普段と変わらないように見える。
「ねぇ、未沙。今日、久しぶりに夕食一緒にどう?」
クローディアの誘いに、未沙は困惑した表情を示した。
「ごめんなさい。今日はちょっと約束があって・・・」
「・・・彼と?」
「・・・ええ。・・・まあ。」
未沙の返事にクローディアは安堵した。
「あら、よかったじゃない。楽しんでらっしゃいな。少し心配してたんだけど、余計なお節介だったようね。」
そう笑うクローディアに、未沙は意外な程小さな声で返事をした。
「そんな楽しいことじゃないような気がするんだけど・・・。」
「どうして?」
「分からないわ。分からないけど、不安でたまらないの。」
そう言うとカップを両手で包むように持ち上げ、そっと一口飲んだ。
「・・・おいしい。」
クローディアはそっと未沙の顔を覗き込んだ。
「やっぱり、何かあったの?あなたたち。」
未沙が小さく頷く。
「・・・ちょっとね。」
ふうっとため息をつく。
「この間からいろいろ電話で話してたんだけど、直接会って話がしたいって言われたの。
 それで今日会うことになったんだけど・・」
未沙は詳しいことは話そうとはしなかった。
「不安なの。」
カップの中の紅茶を見つめる未沙は、明らかにいつもと様子が違っていた。
「何が不安なのかも分からなくて不安なの。でも、どうしていいか分からない。」
そう小さく呟いた。
クローディアは詳しい話を聞こうともせず、けれど、未沙の肩にぽん、と手を置いた。
そして一言だけ、声をかけた。
「大丈夫よ。」
その言葉に顔を上げた未沙に、微笑んで頷く。
その微笑につられて未沙も微笑む。
未沙は、不安が少しだけ和らいだような気がした。

**


輝がパトロールを終えて未沙の部屋へやってきたのは20時を過ぎた頃だった。
「ごめん、俺から会おうって言ったのに遅くなっちゃって・・。」
「いいのよ。お食事、食べるわよね?」
「作ってくれてたんだ。ありがとう。」
輝がテーブルに着くと、手際よく未沙が料理を運んできた。
テーブルの上から美味しそうなにおいが漂ってくる。
「さあ、あたたかいうちにいただきましょ。」
「ああ。」
未沙の作ってくれた食事はやっぱりとても美味しくて、
食事をしながら彼は思った。
─これって、やっぱり、傍から見れば付き合っている恋人同士なんだろうな・・
─なのに・・・
改めて俺たちって何なんだろう、という気持ちが彼の中にふつふつと沸いてくる。
先日の電話でのやり取りが蘇る。
─「離れた方がいいと思ったの」
─「無理しないでいいのよ」

自分の気持ちが未沙にあると自覚したのはいつだったろう。
それすら意識したことがなかったくらい、彼女と一緒にいることは自分にとって当たり前だった。
未沙が自分に好意を寄せてくれていることには、もちろんいつからか気付いていた。
確かに女心の機微には周りが言うように疎いかもしれない。
でも自分のことを好きでいてくれていることにはちゃんと気が付いていた。
けれども、あの雪の日まで彼女にもはっきり気持ちを伝えられたことはなかったし、
自分たちはお互いにわざわざ好きだ、と言わなくても、お互いがそうだ、と分かっている。
そう思っていた。
それに、好きでいてくれていることが分かっていても、
自分も彼女のことが好きだと分かっていても、改めて「好きだ」ということは恥ずかしいような
気がして、さりとて、ならばどうやって伝えればよいかも分からなかった。
自然にそうなってしまったとはいえ、すでに「お付き合い」しているような関係になっていて
改めて「お付き合いして下さい」というのもおかしいような気が勝手にして、そのままにしてしまっていた。
このまま、いつの間にか結婚ということになるのかも、と漠然と考えたことがなかったわけでもない。
それでもいい、とぼんやり思ってもいた。
ただ、今までは、現実味を帯びた話として考えたことはなかった。

ミンメイが再び自分の前に現れたのはそんな時だった。
しかもカイフンと別れて一人でやってきた。
一人だった輝を受け入れてくれた娘々のおじさんおばさん。孤独だった輝にあたたかい気持ちを
もたらしてくれたミンメイ。
そのミンメイが孤独になって自分を頼ってきた。
帰せるわけがない。
ミンメイを家の中へ入れた後で、もちろん、未沙のことは頭をよぎったのだが・・。
正直なところ、どうしようもないし、どうするべきか考えるのも面倒でやめた。
言ったところで、自分と未沙がどうなるわけでもないと思った。
わざわざ言うべきことでもないと思った。

そういったいろいろもあって、結局ずっと自分の気持ちを言葉にして彼女に伝えることがないまま、今に至ってしまった。
その結果が、未沙から切り出された別れだ。
せめて、別れと同時に伝えられた彼女の想いに、あの雪の中で返事をしていたなら
彼女の気持ちは変わっていただろうか。
戦いの最中、彼女を失ってしまうかもしれないと思った時の絶望。
未沙が地球を離れ、もう会えなくなる、そのほうがいい、と言われた時の衝撃。
それはすなわち、彼がもう彼女無しでは駄目なんだという事実を自分自身に突きつけられたことでもあった。
今度こそ、自分の気持ちをきちんと伝えなければ。
好きだ、と。
自分の傍にいて欲しい、と。

知らず、輝の口からため息が漏れた。
─好きだ、って言うだけなのに、どうしてこんなに難しいんだろう。

「どうしたの?」
深刻そうにため息をもらした輝に未沙が声をかける。
「口に合わなかったかしら?」
「そんなこと、あるわけない」
慌てて否定する。
「・・・ならいいんだけど。」

未沙はやはり不安な気持ちを抱いたまま、食事を続けていた。
クローディアに励まされて、少し気持ちが明るくなったものの、やはり落ち着かない。
今日も、これまで彼が訪ねてきていた時と同じように食事の用意をした。
努めて、いつもどおりに。

訪ねてきた彼は、最初こそいつもと同じ様子だったが、
食事を始めると、いつものようには話さず、黙々と食事をとっている。
それが隠していた彼女の不安を煽る。
彼は何を言おうとしてここへ来たのか。
何より、自分がどんな反応をしてしまうかも、怖かった。

「食後の紅茶でも淹れてくるわね。」
食べ終わったところで、未沙が席を立とうとした。
「まだ、いいよ。それより座って。」
未沙が席に戻るのを確認して、輝は話を続けた。
「未沙、この間の話なんだけど」
「俺、今までものすごく大切なこと忘れてたことに今更ながら気が付いて・・」
「未沙。」
あちこち泳いでいた目が、未沙の目を見つめる。
「・・・好きだ。」
─ああ、やっぱり。
待ちわびていた言葉だったはずなのに。
輝の悩み抜いた告白を聞いたのに、未沙はどこか冷めた気持ちでしか受け止めることができない。
「・・・未沙?」
彼女の態度の異変にさすがに気付く。
好き、と言ってくれた相手に好きだ、と答えたのに。
何の問題があるというのか。
─これって両想いじゃないのかよ?
─俺のこと、好きでしたって言ってくれてたよな?
─なんで、そんな複雑な顔してんだよ?
彼は混乱し、そして動揺した。
「未沙・・・・俺の気持ち・・・嫌なのか?」
声を搾り出すようにして尋ねる。
「・・・・嫌なわけ、ないじゃない。」
「じゃあ、どうして・・・・」
「それは、あなたの本心なの?」
「は?」
「あなたは本当に私のことが好きなの?あなたは、私が、好きなの?」
「そんなこと、当たり前じゃないか!」
つい声が大きくなる。
「好きでない相手に、好きだって言えるわけないじゃないか!」
「嘘よ!」
「こんなこと、嘘言ったってしょうがないだろ!」
輝は、はあっ、と大きく息を吐いた。
「どうして、そんなこと言うんだ?・・・やっぱりミンメイのことか?」
未沙は一点を見つめたまま動かない。
「ミンメイのことは・・・未沙に誤解をされるようなことがあったかもしれないって、本当に悪かったと思ってる。」
ドラマの浮気男が言うような台詞だな、と輝は思う。
「でも昔からの友達が頼ってきたときに、一人っきりで放り出すってことがどうしてもできなかっただけなんだ。」
─そうでしょうね。
もちろん、未沙だってそういう事情だったことは分からないでもない。
輝は優しいから。ましてやミンメイは輝の初恋の相手だ。未沙だってよく分かっている。
でも。
─私は辛かったのよ。
彼の優しさはミンメイには向けられても自分には向けられていなかった。
そう思った。
─今更好きだって言われたって・・。やっぱりミンメイさんがいなくなったからじゃない。
穿った考えが頭を占領する。
もういい。
輝の話を終わらせようと口を開きかけたときだった。
「・・・それに、俺だって、言えなかったけど、ずっと未沙のこと好きだった。」
─やめて。
この人は何をいけしゃあしゃあと言っているのだろうかと思う。
─私のことをずっと好きだったですって?
─じゃあ、今までの態度は一体何なの?
「・・・・離れ離れになるなんて嫌だ。一緒にいて欲しい。」
「都合のいいこと言わないでよ。」
輝としては懸命に、素直に自分の気持ちを表したつもりだったのだが、未沙の口から出てきた言葉は
彼には信じられないものだった。
「え?」
「あなたは自分がどれだけ勝手なことを言っているのか分からないの?」
「好きな人に一緒にいて欲しいっていうののどこが勝手なんだよ?!
未沙は、俺のこと好きだって言ってくれたんじゃなかったのかよ?!
未沙こそ、本当は俺のことどう思ってるんだよ!」
つい声が大きくなる。
輝の必死さが未沙の心を揺さぶる。
思わず彼女も声が大きくなる。
「・・・好きよ!大好きよ!もう、ずっと、ずっと前から。自分でもどうしようもないくらい。」
「じゃあどうして・・・?」
「だって、あなたは一人になるのが嫌なだけなんでしょう?」
輝は耳を疑った。
「あなたが私を好きだと言ってくれたのは、ミンメイさんがあなたの前からいなくなったから。
私を、早瀬未沙を好きだから、じゃない」
今にも泣きそうな顔で未沙が呟く。
「ずっと好きだったのなら、どうしてもっと早く言ってくれないの?
どうしてミンメイさんを家に入れたの?
ほうっておけなかった?
あなたは優しいから。でも、私のことなんて思い出さなかったんでしょう?
それは、やっぱりミンメイさんよりも私のことを好きではなかったってことだと思うわ。」
そして、未沙は寂しそうに輝の目を見つめてこう言った。
「あの雪の中で、私が『ひきとめなくてよかったの?』ってあなたに聞いたとき。
あなたは、こう言ったわ。
『ミンメイって娘は、僕なんかにつなぎとめておけませんよ』って。」
未沙の頬を涙が伝う。
「『僕が好きなのは未沙だから』じゃなかった。」

輝は呆然とした。
何の気なしに言った自分の一言が未沙を悩ませていたなんて。
思いも寄らなかった。

<続く>
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Re: No title

ぶいさん

あの輝の台詞、私が長年ひっかかってた台詞です(苦笑)
なんかすっきりしなくて。
解釈はいろいろあるかもしれないですし、
テレビの彼ははっきり気持ちを伝えてないので正直想像なんですが
私なりに彼に決着つけてもらおうと思っております(笑)
かなり悩み中です。。。

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