08 | 2017/09 | 10
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
プロフィール

COW4028

Author:COW4028

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

FC2カウンター

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

スポンサーサイト

--.--.-- --:--|スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
web拍手 by FC2

春薫る空の下で

2012.04.07 02:22|よみきりもの
※Captiveの続きです。



春薫る空の下で






窓から淡い光が差し込んでいる。
まだ時間は相当早いはずだが、外はだいぶ明るくなっていた。
『だいぶ夜明けが早くなったんだな・・』
季節の移り変わりをこんな時に感じる。

傍らではまだ未沙が静かに寝息を立てていた。
露になったその細い肩に、そっと毛布をかけてやった。
その無防備な寝顔を見ていたら、なんともいえない幸せな気持ちになる。
自分にはどんな情けない姿を晒してもかまわないと言ってくれた彼女。
顔を彼女の顔に近づけると、彼女の匂いを感じた。
安心できる場所。
お互いに。

そう、だよな。

輝は未沙の身体に自分の身体を摺り寄せて、またうつらうつらし始めた。


**

「さて、今日はどうする?マクロスシティに戻る便まで半日くらいあるぜ?」
朝食を取りながら輝は未沙に聞いた。
「そうね、せっかくだからお花見に行かない?再生計画で桜を植えた公園があると聞いたのよ。」
「桜?まだ咲いてないんじゃない?」
「ええ、確かにまだ少し早いかもしれないわね。でも、ひょっとしたらほころび始めたつぼみは見られるかも。
それに桜が無理でも梅の花が咲いているんじゃないかしら。」
「そう。じゃ、食事が終わったらとっとと出かけるとするか。」
「そうね。」

そうして彼らはサクラシティの高台にある公園へとやってきた。
都心からさほど離れているわけでもないのに、広々とした公園には、芝が敷き詰められ、桜や梅などの花木が美しく植栽されていた。
まだ植えられて数年の桜の若木は、それでも、小さなつぼみを沢山つけていた。
時期がくれば、小さいなりに、花を咲かせるのだろう。
未沙が言っていたとおり、梅の木には紅梅、白梅が咲き、そこはかとない梅の香が漂っていた。

「素敵ね・・・」
「ああ。綺麗だな。」

天気にも恵まれ、少し肌寒いものの、気分のよい休日を過ごせそうだ。
遠くに花を眺められる芝生に2人は腰を下ろした。
輝はごく自然に未沙の肩を優しく抱いて、未沙も輝へ身体を寄せた。

公園では沢山の人々が思い思いの時を過ごしている。
犬を散歩させる人。
ボール遊びをする子供達。
木々の間をゆっくりと散策する年配の夫婦。
日常の時間がゆったりと流れるそこには、つい最近までこの場所に瓦礫があったことなど感じられない。

「・・・何も変わっていないみたい。」
未沙が空を見上げて呟いた。
「いろんなことがあったはずなのにね。」
「そうだな。」
そのまま2人は黙ったまま人々を眺めていた。
しばらくして、輝が未沙に問いかける。
「未沙はさ、何か困ってることとか、悩んでることとか、ある?」
「え?」
「いや・・、昨日のお礼ってわけじゃないけどさ、ちょっと聞いてみただけ」
「あら、ありがとう。・・そんな風に見える?」
「いや。だから──ホントのところ、どうなのかな、って」
「・・・自分でも、よく分からないのよ。」
未沙は困ったように微笑んだ。
「悩みは、悩みだと思ったら、それこそありすぎるくらいあるわ。困ってることも。
だって、今、私の任務、いろんな意味で大きすぎるんですもの。」
「・・確かに。」
「でも、やっていくしかないわよね。それはあなただって一緒でしょう?」
「まあな。」
「だから、あまり考えないようにしてるわ。それに大変だけど、昨日も言ったけど今の私にはあなたがいてくれるから・・」
恥ずかしそうに微笑んだ。
『そう言ってもらえるのは本当に嬉しいんだけど・・』
輝は未沙の言葉に思った。
未沙は昔からそうだ。
一人でなんとかしようとする。そして出来てしまうだけの力と精神力を持っている。
自分の存在を心の支えにしてくれてはいるが、助けを求めてくるわけではない。
もっとも、未沙に助けを求められても輝が応えられるかどうかは甚だ怪しいし、彼女のほうもそれを分かっているからそんなことをしないのだろう。

──そうかもしれないけれど。

俺って我侭だな。
頼ってこられてばかりだときっとうんざりするはずなのに。
こんなにきっちり自分ですべてを解決しようとされると、どうしても自分を頼って欲しくなる。
「・・未沙は、すごいな。強いんだな。」
つい、ぼそっと口走ってしまった。
「でも俺も、一応、男だからさ・・・やっぱり」
──もっともっと、俺に寄りかかってくれよ。
そんな気持ちで輝は抱き寄せた腕に少し力をこめた。

けれど、腕の中の未沙は輝の想いとは全く反対の言葉を呟いた。
「・・・やっぱり、自分に頼ってくれるようなかわいらしい女の子が本当はよかった?」
──ほらきた。
やっぱり、未沙だ。

彼は、昨日の今日で自分が言えた義理じゃないよな、と思って飲み込んだ言葉を言うことにした。
「・・・じゃあもっと頼ってよ。俺を。頼りないだろうけどさ。」
そう言って照れくさそうに前を向いた。
そんな彼をいたずらっぽく見上げて未沙が言う。
「・・・優しいのね、輝。」
その言葉に、前を向いたまま輝が答えた。
「そりゃ、好きな女の子には、やっぱり笑ってて欲しいじゃないか。」
──好きな女の子。
好きな女の子なんだ、私。輝の。
今更、ではあるが。
未沙は少女のように胸が高鳴るのを感じた。
素直に嬉しいと思えた。

「じゃあ、今日は」
未沙は顔を輝の胸に少しだけ寄せて囁いた。
「・・・私が甘えさせてもらおうかな。」
輝が優しい眼差しを彼女へ向けた。
「もちろん。」
彼女の肩を抱いた腕に、もう少し力を込める。
「じゃ、そろそろ帰ろうか、マクロスシティに。」
「そうね。」


公園の出口に向かって歩きながら未沙が呟いた。
「今回は桜の花を待ちきれなかったけど」
「ん」
「今度は満開の桜の花を見に来たいわね。メガロードで旅立つ前に。」
「そうだな。」
ふと、未沙の表情が曇る。
「・・・来れるかしら」
「・・・来れるさ。」
彼女の不安をかき消すように輝が茶化して言った。
「来ればいいんだよ。休み取って。・・・もしかしたら、子供も連れて、さ。」
輝の言葉に未沙は頬が熱くなるのを感じた。
嬉しかった。
「そうね、そうよね。」
未沙は輝の腕に自分の腕を回すとそっと頬を寄せた。

結婚まであと2ヶ月ほど。
早く一緒に暮らしたいような、もう少しこの時間を楽しんでいたいような。
どちらにしろ、2人でいれば楽しい。

まだ風は冷たい。
でもその薫りはもう、春の薫りだった。

**

休暇明けに未沙が出勤すると、早速クローディアがやってきた。
「どうだった?温泉旅行。ぼうや、ちょっとは元気でたかしら?」
「クローディア!本当に今回の件ではいろいろとありがとう。
おかげでいい気分転換になったみたいよ。ふっきれた、って言ってたわ。」
「そう。それはよかった。・・・で、どうだった?」
「え?だから、いい気分転換に・・」
「違うわよ!2人の関係はまたググググっと深まったんでしょうね、当然。」
正面切ってクローディアに顔を覗き込まれた未沙の頬がみるみる染まっていく。
「え、ええ、まあ・・・」
「ぼうやが元気になってくれたのはよし。でも、元気になり過ぎて、あなたが途中で急にお休みになっちゃう、
っていうのはナシね。後が大変なんだから。」
「んもう、何言ってるの、クローディアったら・・・。」
恥ずかしそうに口ごもる未沙に畳み掛ける。
「きちんと、順序は守るのよ、いいわね?」
「当然でしょ!もう、いいかげんにしてよ!」
怒ったように席をたった未沙を見送ってクローディアは笑った。
「おーこわ。ま、2人とも元気になってよかったわ。」
「早瀬少佐、変わりましたよね。」
ヴァネッサが感慨深げに呟く。
「愛されてるんですね、一条大尉に。」
「あら、分かるの?」
「見てれば分かりますよ。あの攻防戦以来、全然違うんですもの、少佐。」
「あらそう?」
「なんていうか、丸くなったというか。人間らしくなったというか。
同じように厳しい指示を出しているはずなのに、鬼、って感じがもうしないんですもの。」
横からキムも口を挟む。
「そうそう。パイロット達も噂してるもんね。やっぱり『女』になると違うよなって。」
「やだぁなにそれ~!」
シャミーが叫ぶ。
「まあ、『みさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!』だったもんね・・・。そりゃ噂されても仕方ないわよ。」
キムが知った顔でうんうん、と頷いた。
「理由はどうであれ、少佐のご機嫌がよろしくて、最近は減ってきたとはいえ、一緒に仕事する私達にとってはいいことよね。・・とばっちり受けるのはもーうコリゴリだもの。」
ヴァネッサが呟く。
「もう、もめること、ないよね。」
「うん、ないよ。」
「もうすぐ結婚、しちゃうんだもんね。」
「一条少佐、になっちゃうんだよね。」
「そうだよね。」
「・・・なんだか不思議。」
「そいでさ・・・」
シャミーが途中で言葉を飲み込んだ。

しばらくして、ヴァネッサが呟く。
「・・・やっぱり、寂しいよね。。。」
3人ともちょっと泣きそうになる。

「こーらー!なにしんみりしてるの、そこの3人!!上司の幸せを素直に喜んであげなさいよ。
メガロードの出航まではまだまだ時間があるんだし、出航した後だって会えなくなるわけじゃないでしょ!
大体、結婚式の余興の準備はちゃんと出来てるんでしょうね?!2ヶ月あるから大丈夫と思ってたら甘いわよ!」
「やばーーーーーい!!まだ何にもできてませーーーん!!!」





春はもうやってきてる。
すぐそこまで。





おわり
スポンサーサイト
web拍手 by FC2

コメント

拍手レス♪

拍手ありがとうございます!
レス遅くなってごめんなさい。。最近PCの調子が悪いです。。

未沙大好きさん

はじめまして。ようこそいらっしゃいましたi-179
そうなんですかー、スカパーでやっていたのですね。
本編はホントあの2部は特にもどかしくて、ラストもすっきりしなくて・・
☆プロの回は絵も脳内修正かけながら見てましたし。
あの消化不良感からSSやイラストを描いているようなものです。
(ほぼ、自分のために、って感じで・・すみませんi-201
楽しんでいただけたなら幸いです。
更新もほとんどできていませんが、また覗きにきてくださいね。
コメントありがとうございましたi-228


ぎゃおさん

コメントありがとうございますi-178
暖かい気持ちになっていただけましたか、よかったですw
ラスト、ちょっと蛇足だったかな、とも思ったんですが、久しぶりにクローディアと3人娘に会いたくなって書いてみました。このお話の前の話(captive)でも出てきてますしね。
ブリッジでの未沙も含めたみんなのやりとりって、すごく楽しくて好きだったんですよね~
あまり更新もできませんが、また覗いてみてくださいね。

拍手レス♪

拍手ありがとうございます!

みんとさん

いやもう、いつでもコメント大歓迎ですi-178
そんな風に言っていただけて、嬉しいです~(*^^*)

逡巡のあとは隠して・・・いるつもりはないのですが。。結構うろうろして着地点決まらなかったりするんですよ~

いつのまにか春が過ぎて初夏のかほり・・・
また季節ものも書けたらいいなと思います。
みんとさんの作品もお待ちしてまーすi-237
コメントありがとうございました。

拍手レス♪

拍手ありがとうございます!
地味な更新にもかかわらず拍手いただけてとても嬉しいですww

michyさん

しあわせになっていただけてよかったです♪
なんか、今の季節のお話を書きたいなと思ったらこういうお話になりました。続き物にしては間が開きすぎてしまいましたが・・(^^;)
コメントありがとうございましたi-228

にゃおさん

そうだったんですね~。お役に立ててよかったです♪

感想ありがとうございます。子供のことは、特に考えてたわけじゃなかったんですけど、勝手にさらっと言ってました、輝が(笑)。
このお話の頃には自然に肩を抱くような関係になってるんじゃないかな、という私の希望がてんこもりですww
また時々地味に更新しているかもしれないので、お暇なときにはのぞいてみてくださいね♪

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

拍手レス♪

ゆばさん

萌え補充していただけたと言っていただけて私も嬉しいです~
なんか絆確認中の二人を書いてしまいました。
Captiveとこのお話の2人は私の中でこうあって欲しいという2人なんだろうなぁ。書いてて自分が一番萌えてたかもしれませんです・・
クローディアと3人娘も楽しんでいただけてよかったです♪
ありがとうございましたi-228
非公開コメント

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。