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Sonatine

2012.01.18 15:07|よみきりもの
※「今夜、君を抱いて」の未沙sideの話です。
※これもそのとき書きかけていたものがやっと出来上がったので遅ればせながらUPします。


Sonatine




灯りはすべて消した。
それでも部屋の中は窓から差し込む柔らかな光に包まれていた。

『・・・・なんて綺麗な光』

未沙はぼんやりと窓の外の夜空に輝く、満月を見上げた。


**

今日はめずらしく早く帰宅できた。
それなのに、輝は深夜パトロールが当たっていて、彼女が帰宅した時には既に家を出た後だった。
結婚して1ヶ月。こんなすれ違いはしょっちゅうだ。しかし、どうしてこんな日に・・という想いが未沙にもない訳ではない。けれど、どうしようもない。任務なのだから。お互いそれは良く分かっていたので不満を口に出すことはなかった。



彼女はシャワーを浴びると、手早く料理をして簡単に食事を済ませた。
そして、たまっていた家事を片付けたり、目を通せずにいた雑誌や本、録画しておいたテレビ番組等を
チェックした。
すべてを終えたとき、ふっと手持ち無沙汰になったような気がして、かといって何かを始めたい、という気にもなれず、
彼女はいつもより幾分早くベッドに入った。


**

ダブルベッドは一人で眠るには広すぎる。
彼女はこれまでにも何度もこのベッドで一人で眠ったことがあるのに、そのたびに、その広さに、そこにいない輝を意識せざるをえなくていろんなことを考えてしまう。
どうせなら、彼がいない一人の時間を楽しもう、と普段は彼に遠慮してなかなか聴かなくなったクラシックのCDをかけてみた。

月明かりの中聴くラヴェルは、彼女を遠い記憶の中へと誘った。


──ピアノ。
小さい頃、習っていたっけ。
私が弾くのをお母さまがいつも楽しそうに聴いていた。
お父さまが久しぶりにお帰りになられたときには必ずこう言っていたわ。
「未沙さん、どのくらい上手に弾けるようになったか、お父さまに聴いていただいたら?」
褒めていただきたくて、一生懸命、弾いたっけ・・・
もう、きっと、弾けなくなっているだろうな・・。

未沙はふと母のことを思った。
『お母さまは・・』
いまどきめずらしく古風な女性だった、と思う。
夫に尽くし、陰でしっかりと支えていた。
家のことで夫の手を煩わせることはなかった。
自分のことでも。
病に倒れてからも、夫を想い続け、信じて、帰りを待ち続けながら一人で闘い、そして旅立った。

──お母さまは、今の私を見たらどう思うだろう。

自分が軍人になりたい、と言ったとき、母は最終的には承諾してくれたが、よくは思ってくれていないようだった。
多分、母は自分に『女性らしい女性として』育っていって欲しかったのだと思う。
だからこそ小さいころから礼儀作法に始まり、料理や家事、手芸を教えてくれたし、ピアノも習わせてくれた。
いろいろな芸術や文化にもたくさん触れさせてくれた。
こうも言っていた。
「いつでも笑みをたやさないようになさい。」
そして誰かの妻になる日がくれば、その夫となった人を支えていくように・・
母がそうであったように。
しかし、その考え方、生き方にその当時は反発も覚えたし、今でも100%そうだとは思わない。

──あきれられるかもしれないわね。

自分は夫を支えるどころか、すれ違いの日々で、自分が支えてもらっていることの方が多いかもしれない。
家事も出来るときに出来るほうがしている。
輝は男手ひとつで育てられ、また一人での生活が長かったので、この生活は当然と受け容れているようだ。
実際こうしなくては生活が成り立たないので未沙も当然、というか、こうするしかない、と思っている。
でも、実は、未沙はほんの少し違和感を感じていた。
恋人関係になる以前から輝の食事や身の回りの世話を焼いていた未沙。
そうすることで幸せを感じていた未沙。
完璧に『支える妻』であった母に育てられた未沙にもやはり、『男の人には尽くしたい、尽くしてあげるべき』という意識が染み付いていたのかもしれない。
もちろん、未沙はそんな風に考えたこともないし、そうあるべきだと思ったこともない。
にもかかわらず、である。
結婚式の辺りから職務の関係で急に多忙になり(それは今も継続しているわけだが)、彼女は『してあげたい自分』と『できない自分』の間で人知れず葛藤していた。
出来る限りのことはやろうと少ない休日や空き時間にはせっせと料理を作って冷凍したり、下ごしらえを済ませたり、片付けや掃除、洗濯などの家事も睡眠時間を削ってでも見苦しくない程度にやった。
輝が出来ることはやってくれようとしたが、なぜか素直に頼むことができずに、よっぽど自分で納得のいく理由がない限りは彼の申し出を断った。

そして一緒に暮らし始めて2週間ほど過ぎた頃、未沙は些細なことで輝に文句を言ってしまい、
きっかけになった出来事が輝にとってはそれほど文句を言われるようなことでもなかった為に
喧嘩になってしまった。
いつもは彼女のやり方に特に反発することもない輝だったが、未沙の態度につい、こう言ってしまった。
「なんでも完璧にやりたいのは未沙の勝手だろ、俺まで巻き込むなよ。
完璧にやろうとして疲れて当たられるくらいだったら、やってくれないほうがましだ。
大体俺もやるよって言ってるのに。」
──こんなに一生懸命やっているのにこの人はこんなひどいことを・・・
未沙の中の無意識に張り詰めていた気持ちが、ぷつん、と切れた。
悔しくて悲しくて返す言葉もなくて、涙がぽろぽろこぼれてきて止まらない。
溜め込んでいた感情があふれ出す。
輝はそんな未沙を見ながら困ったように言葉を継いだ。
「ああ、だから、どうして泣くの?俺が言いたいのはさ、俺は、ただ無理しなくていいって言ったつもりだったんだけど」
「やらなくちゃ、私の気がすまないのよ!」
「どうして?」
「汚いお部屋を見ていると落ち着かないし、お料理だって、あなたにきちんと作って食べさせてあげたいし、お洗濯だってちゃんとしてあげたいのに」
ぼろぼろと涙をこぼしながら最後の方は言葉になっていない。
「・・・できないんですもの・・・。」
「分かってる。ちゃんとしてくれてるよ。とても嬉しいしありがたいと思ってるよ。
でも、こういうことは未沙だけがすることじゃないだろ?」
一生懸命に輝は未沙に訴えた。

未沙はきちんと納得したわけではなかったが、輝の訴えを尊重してそれから無理をしなくなった。
実際自分も限界だったのだ。輝の訴えは、彼女のこだわりを捨てさせる理由となった。
その代わり、すれ違い勤務で顔を合わせない日々が続けば、時間だけでなく内容まで別々の食事になった。
洗濯も、各々済ませる日々が続く。
顔を合わせるのは寝顔かモニター越し。
夫婦の会話は、食卓に残したメモや、メールで交わすようになった。
同じ家に暮らしているはずなのに、気配は感じているのに・・
同じベッドで眠っていても、新婚とは思えない。
自分が思い描いていた結婚生活とは違うような気がした。
けれど、退役してずっと家にいる自分を想像することもできなかった。
今の未沙にとってメガロードの宇宙移民計画は大切な夢だ。
そんな自分で申し訳ない、と輝に対して思うこともあった。
普通の女の子が奥さんだったら、こんなおかしな結婚生活をせずにすんだのにね、と。


ベッドの中でいろいろなことを考えているうちに、未沙はうとうとしてきた。
『本当は、もっと一緒にいたいのよ、輝・・・』
ベッドの隙間がやけに広く感じる。
隣にあなたがいて欲しい。
あなたの腕の中で、ぬくもりを感じながら、毎日眠りたい。
『きっと、そのうちに、ね・・・』
無意識にいつも輝が眠っているほうへ身体を向けて、未沙は眠りに落ちていった。


**


朝、目が覚めると、輝の顔がすぐ近くにあった。
どうやらあのまま自分は眠ってしまい、彼の帰宅も、いつベッドに入ってきたかも気付かなかったらしい。
深夜パトロールを終えて帰宅した彼はぐっすりと眠っている。
ふと気づけば彼の片腕は自分を抱くように身体にそっと触れていた。
そういえば、触れられているのも久しぶりのような気がした。
触れた腕から暖かさが伝わってくる。
同時に、何故か、自分は愛されているんだとふいに思った。
『輝・・』
彼を起こさないように静かに身体を起こすと、しばらく彼のあどけない寝顔を眺めてから
そっとその頬に口づけした。
『・・・私も。』



その後、輝の朝食の支度や家事を終え、自分も簡単に朝食を済ませると、制服に身を包んだ彼女は
ダイニングテーブルで一枚のメモを書いていた。
嬉しそうに微笑みながら。
「それでは、行ってきます。」
そのメモをテーブルの上に置くと、未沙は颯爽と立ち上がって玄関へと向かって行った。







おわり

※Imaged from M.Ravel "Sonatine"
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コメント

みんとさん

いらっしゃいませ!
気が向いたときにこそーり更新しております。地味に・・(笑)

ソナチネとソナタ、名言ですねi-185
私の場合は毎日、ソナチネどころかチェルニーかなにかの練習曲をやってる感じです。。。
しかもallegroで・・・(とほほ)

相変わらず意地っ張りな未沙と無神経な輝の取り合わせなわけですが、ちょっとは進歩したのかな、と。
まあ、反対側では輝もバルキリーのコクピットでもんもんとしているわけですが(苦笑)
対で書いた2作品の2人がそれぞれかわいくて、書いてて私は楽しかったですww

更新は、妄想の神様が電波を送ってくださったときに・・
またお時間あるときに覗いて見てくださいね♪
ありがとうございましたi-178

にゃおさん

おお、分かっていただけて嬉しいです(〃▽〃)
私も過去に身に覚えがあり(苦笑)あの2人はどうだったのかなぁと考えた次第でして・・。
輝の一言も、らしいと思っていただけてよかったです!
未沙母の影響は、女性に限らず子供って同性の親の生き方を無意識に刷り込まれてる部分てあるんじゃないかと思ったんですよね~。それを本人が受け容れてるかどうかはいろいろだと思いますが。

ご質問の件は、また別便でお返事しますね。
コメントありがとうございましたi-178

vivaceな日々。

ぺぱみん、改め、みんとです、コンバンワ!
(先日はありがとうございました)

こそこそ来てみたら、こんなに素敵なSSが!

日常生活はソナチネ、人生はソナタ、
なーんて勝手に思ってしまいました。

ちょい意地を張る未沙がとてもスウィートi-269
それでいて気持ちと折り合いをつけて現実を受け容れ、
前向きに進んでいこうとする姿がステキでした。

これからも更新、期待していいですか??
やさしいお話をありがとうございましたv

ラプソディなみんとより(笑)

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敦賀屋バボさん

こそーり更新しております。。地味に・・。

絆へと昇華、ほんとそうですね。
自分では彼らの関係の変化をバボさんのように言葉で表したことがなかったので、なるほど、と思いました。
すれ違いの日々のなかで、すれ違いだからこそ、お互いの絆の強さを認識していったんでしょうね、きっと。

コメントありがとうございましたi-189

以心伝心

更新に気が付いってなっかった( ;´Д`)
そうなんよね 勤務 任務 作戦 索敵 訓練で
すれ違いの日々 だから、二人は 普通の夫婦よりも
お互いを思う心が強いから 素晴らしく見えるんだ(((o(*゚▽゚*)o)))
気になる関係から 好きな気持ちが恋になって 愛情へ変化して
夫婦と成って 絆 へと昇華する
そんな変化を堪能できる ストーリー でした

拍手レス♪

拍手ありがとうございますw

michyさん

いつもありがとうございます~i-176
そう、未沙ってお嬢様だよね、と思って。
輝とは育ちが違うんだけど、素直で真っ直ぐで、根はとても優しいというところがおんなじで。
そんなことを思いながら書いてみましたw
michyさんのSSやイラストも楽しませていただいてますw
またお邪魔しますね~i-178

拍手レス♪

拍手たくさんありがとうございます(>▽<)
拍手をいただけるのが嬉しくて、なんとか地味に更新しておりますi-176

ゆばさん

きっと未沙だって完璧にできなかったり、割り切れない思いを抱えてたりするんじゃないかなと思って。
一生懸命にやるけど、できない、という。
そんなとこがあるから輝も彼女をかわいいと思えるんじゃないかな、とか。
これもお蔵入りにならずにすみました!
イチャイチャする二人はゆばさんちで楽しませてください~~うふふ
コメントありがとうございましたww
非公開コメント

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