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Rainy Day

2010.07.07 11:08|よみきりもの
Rainy Day





窓に雨がぶつかる音に、未沙は目を開けた。

『・・・雨。』
まだベッドに体を横たえたまま、顔だけ窓の方に向ける。
窓の外にはどんよりとした、暗い雨空が広がっていた。
時折激しく窓を叩きながら降る雨は、なかなかやみそうにない。
未沙はまだ覚めきらない頭でぼんやりと窓の外を眺めていた。

「・・・ああ、雨か。」
輝も目を覚ましたようだ。
ふぁぁ、とあくびをしながら未沙と同じように顔だけ窓に向けている。
「ま、いいか。こんな日も。雨ならもう少し寝よ。」
そういうと、また毛布にくるまって寝返りをうった。
『・・・もう』
未沙はそんな彼の気配を背中の向こう側に感じながらため息をついた。

この日、久しぶりに同じ日に休暇が取れた2人は森林公園に行こうと計画していたのだ。
未沙が言い出して。
広く、高い、青い空が見たい。風に揺れる緑の木々のざわめきを感じたい。
地面を踏みしめて歩き回りたい。水辺に流れる水の音を聴きたい。
メガロード計画が順調に進み、宇宙へ旅立つ日が現実味を帯びてくるにつれ、彼女のこうした思いは
強くなっていく一方だった。
マクロスが航海していたときはここまで思わなかったのに。
マクロスの航海で、長期間宇宙を航行するという経験をしたからこそ、かもしれないが、
メガロード出航の前に地球の自然をしっかり味わっておきたい、記憶にしっかりと留めておきたい、
そう強く感じていた。
そういうわけで、彼女はここの所時間があれば例え一人でも、公園やら広場やらに散歩に行っていた。
2人でいけるときは、張り切ってお弁当を作って少し遠くの公園や、再生計画によって
緑がよみがえりつつあるところへ出かけていた。
この日も、未沙はちょっと遠出になる森林公園行きを楽しみにしていたのだ。
それが雨で中止になってしまった。
『あーあ。楽しみにしてたのにな・・』
またため息が出た。
『輝も輝だわ。もう少し残念がってくれたっていいじゃない。久しぶりに一緒にすごす休暇の予定が
なくなったっていうのに。もう少し寝よ、だなんて。』
輝の方へ体を向けて彼を見てみると、彼は毛布にくるまって再びすやすやと寝息をたてていた。
それはそれは幸せそうに・・。
未沙はもうひとつ、ため息をつくとゆっくりとベッドから起き上がった。

**

雨音をBGMに、一人紅茶を味わうのも悪いものではなかった。
さわやかなアールグレイの香り。
胸いっぱいに吸い込んでみると、霞がかったようだった覚めきらない頭も、
予定がだめになった憂鬱さも、果ては相変わらず鈍感な彼の一言も、
『まぁ、いいわ』
と微笑で流せるような気持ちになれた。不思議なものだ。
コーヒーも悪くないけど、やっぱり私は紅茶が好き。

以前、輝にそういうと彼はこう言った。
「ふーん。まあ、紅茶もおいしいけどね。俺にはその微妙な香りってのがどうも
分からないんだよなぁ。
正直、どれも一緒なんだよね。その点コーヒーは、手で淹れるときはこう、なんていうのか、
面白みがあって俺は好きだなぁ。」
輝はそれまでコーヒーメーカーか、インスタントでしか淹れたことが無かったくせに、
未沙と一緒に暮らすようになってハンドドリップを覚えてからすっかりはまっていたのだ。
未沙は単に、紅茶を葉でポットで入れるのと同様、コーヒーも少しでもおいしく味わいたいから
ハンドドリップをしていただけで、プロセスそのものには興味もなにもなかったのだが、
輝は味はさておき、そのプロセスに心惹かれたようなのだ。
それで彼はたびたびコーヒーを淹れては、未沙に「今日はどう?前よりちょっとお湯の温度を変えてみて、
蒸らし時間も変えてみたんだけど。」という調子で持ってきた。
正直なところ、紅茶好きの未沙としては辟易してきていた部分もあったが、ああでもない、
こうでもない、とぶつぶつ言いながら試行錯誤している輝を見るのは面白いので付き合っていた。
そうこうしている間に彼は本当に美味しいコーヒーを淹れられるようになったのだ。
好きこそものの上手なれとはよく言ったものだ。
『飛行機の操縦もこうやって覚えたのかしら。』
全然違う話ね、と思いつつ、ぼんやりとそんなことを思いついてしまった自分が妙に可笑しかった。

「もう起きたんだ。相変わらず早起きだね。いつも忙しいんだから、こんな雨の日くらい
ゆっくり寝てりゃいいのに。」
そんなことを言いながら、ようやく起きた輝が未沙の向かいに座ると、彼女はカップから少しだけ
目を上げて、彼に応えた。
「ご心配なく。雨の音を聴きながら美味しいお紅茶頂いてました。」
「ふーん。・・・公園、また今度だな。仕方ないな。」
輝はちょっと残念そうに窓の外を見やった。
しかし、それも一瞬だけだった。
「・・ま、いっか。実は俺前から時間が取れたらやりたいことがあったんだよねー。」
「何?」
未沙の問いに、輝は戸棚から意気揚々とひとつの箱を取り出して見せた。
「じゃーん!!これこれ!先月買ってた、やっと発売された、懐かしのVF-1Aのプラモデル!
変形できるんだぜ、これ。やっぱり最初にお世話になった機体は作っておきたいよなぁ。」
「・・・・・そう。」
未沙はやっとのことで返事を返した。
『そんなの、あなた一人で休暇の時に作ればいいじゃないの!』
心の中でそう突っ込んではみたものの、口に出して彼に言ってしまうとまるで自分だけが、
2人で休暇を楽しみたいのに!と言っているような感じがして、言葉にすることは出来なかった。
『なによ、わざわざ私が出来ないことしなくてもいいじゃない!映画見ようとか、買い物行こうとか、
誘ってくれないわけ?!ほんとに気が効かないんだから!!!!!』

そう、と返事をしたものの、一気に表情を曇らせた未沙に、さすがの輝も困惑した。
「未沙、何?このモデル嫌い?未沙って1Aになんか嫌な思い出あったっけ?」
『そういう問題じゃないって何で分からないの!!』
「べ、別に何もないわよ。」
「じゃ、どうしたのさ、その顔。」
「何でもない、って言ってるでしょ!」
「その言い方、何でもなくないだろ!」
『ああぁ、もう、どうしてこうなるのかしら?』
未沙は思わず目を閉じて、ため息をついた。
「・・本当になんでもないわ。いいじゃない、1Aでも1Jでも1Sでも作れば。お好きなように。」
「なんだよ、その言い方。なんかひっかかるなぁ。」
「ひっかからなくていいから。朝食食べるでしょ?」
『もう、鬱陶しいわねえ!紅茶のおかげで気持ちよくすごせてたのに、台無しだわ!』
未沙は椅子から立ち上がるとキッチンへと向かった。
「訳分かんねぇな。俺なんか悪いこと言ったかな?」
微妙な女心はやっぱり分からない輝なのであった。

**

窓の外は相変わらず雨が降り続いている。

輝はといえば、朝食を平らげると自室の机の上にキットを広げ、黙々とモデル作成に
取り組んでいた。
未沙はそんな輝と一緒に休日を過ごすことを半ば諦め、自分は自分で以前から読みたいと思って
読めずにいた本を読むことにした。
もちろん、あとで食事の準備で楽しみが中断されることがないよう、既に仕込み終わった
ビーフシチューをことこと煮込みつつ。
『昼はパスタがあったから、簡単に用意できるわね。夜はシチューにパン、あとはサラダでも
作れば上等ね』
食事の用意も完璧、ゆったりソファに身を沈め、本の世界に浸ることにした。

──が。
浸れなかった。

『輝って』
未沙は本から顔をあげると、その視線の先の彼をぼんやりと見つめた。
『よく分からない。』
彼のことが分からないのは今に始まったことじゃないけど、と一人苦笑しつつ、彼女は思った。
──だって、彼と私は本当にいろんなことが「違う」。
飲み物の好みも、時間の過ごし方も、ものの感じ方も。
それはそうよね。別の人間ですもの。
『輝も私と同じように感じることもあるのかしら。私のこと、こいつ何考えてるか分からない、って。』
そういえば時々言われてたことがあったかも、とぼんやり思い出す。
『お互いさま、かしらね』
そうよね。
そして、それでも一緒にいるのだから。
やっぱり、お互い「合う」部分もあるのだろう、きっと。
問題は「合わない」部分をどう認め合えるか、かもしれない。

『違いを、認め合う・・・』
ぽん、と未沙の頭の中に、ここ最近のいろんな事件が浮かんだ。
ゼントラ人の暴動騒ぎ。
地球人によるゼントラ人への偏見や差別。
共存する道を選んだことによってじわじわと滲み出てきたいろいろな問題。
メガロードにはもちろん、ゼントラ人も地球人も一緒に乗る。
未沙にとっては他人事で済ますことのできない、頭の痛い事件ばかりだ。
『きっと、お互いに認め合おうという気持ちがあれば・・』
ゼントラーディー人に文化を広めようと言うが、もともとゼントラーディ人には本当に文化は
なかったのだろうか。
未沙はふと思った。
彼らが持っている習慣や考え方は全部否定されなければならないものなのだろうか。
彼らを地球人に、地球の文化に同化させようとするから、地球人が彼らを見下したり、彼らも
反発して暴動したりするのではないか。
だいたい、彼女の知っているゼントラーディー人はみな、ゼントラーディーの戦士としての
誇りを持っていたではないか。
地球人の文化や習慣だけを彼らに押し付けるのではなく、私たちも彼らのことをもっとよく
知らなければならない。
なのに、私たちは知ろうとする努力を怠ってきたのではないか。

「未沙?」
声を掛けられてわれに返ると目の前に輝がいた。
「どうしたの?なんだかすごい思いつめた顔してたけど。」
「い、いやだわ、私。すっかり考え事をしていて──あなたこそ、もう出来上がったの?」
「あともう少しさ。でも大体組みあがったから、ちょっと休憩してお茶でも飲もうと思って出てきたら
未沙が本なんか上の空ですごい顔してるからさ。──何考えてたの?」
未沙は困ったような顔をして彼を見ると、ため息をついた。
「・・また、仕事の話。ゼントラーディーの人たちとどうやったらうまく共存していけるのか、
つい考えてしまったのよ。」
「未沙が読んでた本に、そういうことが書いてあったの?」
「いいえ。あなたを見ていたらね、なんだか、ほらあなたと私っていろいろ違うじゃない。
でもなんとか一緒にやっていけてる。ゼントラーディーの人たちとはどうしてうまくやって
いけないのかしらって、ちょっと思っちゃって。
自分でもどうしてそんなことを思いついたのか分からないわ。」
我ながら頓珍漢なことを言ってる、と頭の片隅で思いつつ、未沙は答えた。
「・・・ふーん。そりゃまたすごい発想だね。」
「あきれてるでしょ?相変わらず休暇の時にまで仕事のことを考えてる堅物だって。」
「堅物ねぇ・・そうは思ってないけどさ」
輝は頭をクシャクシャとかき上げながら、こう続けた。
「確かに真面目だとは思うけどね。
でも、真面目なだけじゃなくて、やっぱり未沙は優しいんだよな、きっと。
自分のことだけを真面目に考えるんじゃなくて、みんなのことを真面目に考えてる。
どんなときも、頭の片隅に、みんながどうやったら幸せにやっていけるか考えてるんだよな。
自分以外どうでもいいや、と思ってる人間にはそんなことできないよ。
 ──ま、度が過ぎるとお節介、ってことになるけどね。」


時々、彼は彼女の想定外の答えをする。
そして、そんな彼に彼女は救われるのだ。

「お茶、いれてよ」
いつものように、彼は微笑む。
「紅茶だけど、いいかしら?」
「もちろん。コーヒー飲みたきゃ自分で淹れるよ。」
「わかってるわよ。」
いつものように、彼女も応える。

自分と違うもの、違うものの見方や好み、考え方を認められなかったとしたら、
人間関係なんかきっと築けない。
違うから面白い、違うけど一緒にいるから別の見方も発見できる。
違ってることのよさを認められること。
共存、共に生きていくってそういうことかもしれない。
民族も。友達も。そして一番小さな他人の集まりである、夫婦も。

「結局一日雨だったけど」
ダージリンのカップに目線を落としつつ、未沙はつぶやいた。
「あなたと一緒だったから、結構楽しい一日だったわ。」



おわり
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コメント

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理沙さん

お返事が遅くなってしまってすみませんm(_ _)m
地味に更新しておりました・・といいつつ、このお話のあとぜんぜん書けてませんが(汗)

理沙さんの作品での、理沙さんの世界でのゼントラーディの「文化」の表現、楽しみにしています。
また遊びに行きますねー!

拍手レス♪

いろはさん

ありがとうございます☆
こそーり更新していました・・・次は(もし書けたらですが)おしらせいたします(^^)いやなんかお恥ずかしくて・・
気に入っていただけてよかったです。
また雨の日にも読んでやってください~。

>敦賀屋バボさん

なるほどそうなのですね。
でも結婚してても5Mな人って結構いるような気がしますわ・・

らんこさん、おひさしぶりですー!
こちらこそ、お返事が遅くなってしまってごめんなさい。。
こそーっと更新していたので多分、みなさん、気がついてないとおもいます(^^;)
なのに読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます☆

> 立派に文化なのに。
> 上から目線表現になってるのが悲しい

そうなんですよねー。前から気にはなっていたのですよ。
戦うことに特化された種族とはいえ、戦士としてのプライドをもち、集団を形成して長い長い周期やってきたわけですから。
らんこさんの作品を読ませていただいて、ゼントラーディが文化を持っていない、ということに違和感がますます募ってきて。
私なりに少し絡めて書いてみました(お恥ずかしい)

またらんこさんのところにも遊びに行かせていただきますねー(^^)

COWさんへ

僕は独身なんで、家庭的なレスは経験ちゅうより
妻子持ち の人物の変化を元に書いてますヽ(;▽;)ノ
男って守るもの持つと壁をつくるし
女って守られると 壁にたち向かうし
独身は 結構 無理無茶無謀無策無神経の5Mですよ~ 私もその内の1人っす
リアルでは立場的に気を付けてはいても(-_-;)

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

ありがとうございます(^^)

敦賀屋バボさん

はじめまして(^^)コメントありがとうございます。
ネット落ちしてまして、承認が遅くなり申し訳ありませんでした。
(更新をほとんどしないので、勝手にコメントが承認待ちにされてしまったようです・・)

> 一人では見えないけど

そうそう、そうですよね。わかっていただけて嬉しいです。
改めて2人の生い立ちを見てみたときに、よく考えたらこの2人ぜんぜん違う環境で生きてきたのよね、と思って。その2人が一緒に生きていくようになってどう変化していくのかな、と考えたら面白くなってきたので、最初の一歩的なところを書いてみました。

2人の今後は書けるかわかりませんが、書いたときにはまた読んでいただけたら幸いです(^^)

思考

かんにちは 早瀬美沙から一条美沙に変化して行く
そげな1シーンですな(^_^)
一人では見えないけど、二人になる事(寿)だから見えてくるし
今後は親に成って、得る事もあるし 子が増えると更にだし
かんごが ワクワクです

拍手レス♪

豪渓仙人さん

はじめまして(^^)コメントありがとうございます。
お名前は他サイトさまでお見かけしています。こちらまで足を運んでいただき、今までの作品も読んでいただいているとのこと、本当にありがとうございます。
なんてことない日常しか書けない私ですが、楽しんでいただけたなら幸いです。
なかなかアップもできませんが、また遊びに来てくださいね。

拍手レス♪

ゆばさん

ありがとうございます。らしいといってもらえてよかったー。
Aは3号からうちの地元では見かけなくなって、ファーストも続きが読めてません(><)みなさんのレポートがたよりです。

久しぶりのアップやのにやっぱりこういうなんてことない話で(^^;)
あつい二人はゆばさんとこでまた堪能させてくださいね☆

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