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Little Happiness Epi.1

2008.09.02 10:59|Little Happiness
Little Happiness Epi.1

2012年9月。

「ただいまー。・・・あら、やけに静かね。」
部屋の中に静かに夕日が差し込んでいる。
「・・今日輝は早く帰ったはずなのに。久しぶりに一緒に夕食が取れるね、
なんて喜んでたのは誰だったのかしらね?」
ハンドバックをソファにおき、着替えようと寝室のドアを
あける。
「・・なーんだ、そういうこと。」

ベッドの上ではTシャツにトランクス姿の輝が寝息をたてていた。
ベッドサイドにはビールの缶。どうやら帰って来てシャワーをあび、
ビールを飲んでいたら気持ちがよくなって眠ってしまったらしい。
未沙は輝の飲み残しのビールを飲み干すと(気が抜けて不味かったが)、
輝の上にタオルケットをかけて寝室を出た。
「気持ちよさそうね。私もシャワーあびてこよう。」

未沙がバスルームから出て来ても、輝は起きてくる気配がない。
「良く寝てるわ。・・最近忙しかったものね。私も、あなたも。」
未沙も輝のそばに腰掛け、その平和そうな寝顔を覗き込む。

メガロードの就航をあと1年後に控え、艦長である未沙も、メガロードの
航空防衛隊の指揮官である輝も多忙を極めていた。
二人は同じ屋根の下に暮らしているとはいえ、会えない日もあった。
しかし、すれ違いの日々のなかでも、寂しいと感じることはなかった。
・・・それは、以前と違って二人の絆がしっかりしていたからであろう。

「本当に気持ち良さそう・・・。私も少し休もうかな・・。」
いつの間にか、輝の隣で未沙も眠ってしまっていた。

輝がふと目を覚ますと、すでに日が落ちて部屋の
中は真っ暗になっていた。
「いけね・・。俺寝ちゃったのか。・・・未沙まだ帰ってないのかな?」
ふと体を起こすと傍らに未沙が風呂上りのワンピース姿で寝息をたてている。
「なんだ。帰ってたんだ。」
無防備な格好で眠ってしまっている彼女を見てつい、笑みがこぼれる。
俺も、人のこと言えないけど。
「未沙、未沙。」
「・・・ん、んん・・。」
「もう7時すぎになるよ。」
「ああ、ごめんなさい、あんまり気持ちよくって・・・」
「さ、シャワーも浴びてることだし、さっさと一緒にメシつくって食べようぜ。
明日は非番だし、久しぶりにワインでもどう?」
「いいわね。賛成よ。」
二人は起き上がってキッチンへと向かった。

「たまには昼寝ってのもいいよな。」
トマトソースを作るための玉葱とニンニクを刻みながら、輝がつぶやいた。
ぐびり。傍らにはビールの缶。
「そうね。なんだかあの日の光のなかで眠るのって
妙に心地いいのよね。・・・ってあなた、なに飲んでるんですか?」
「いやいや、男の料理には酒がつきものでしょう。」
にやりと笑う輝。
「そうだったかしら?」
意地悪く未沙が瞳を向ける。彼女はパスタを茹でるための湯を沸かしている。
そんなに広くはないキッチンに並んで二人で料理をする。当たり前の生活がそこにはあった。

「それはさておき、昼寝はいいよなって話だったんじゃなかったっけ?」
「そうそう、子供のころを思い出すっていうか・・・。
目が覚めるとおやつがあったりね。」
「さすがはお嬢様。・・俺は、そうだなあ、そんなことはなかったけど、
おやつといえば、親父がスタントの合間にジュースやアイスを買ってくれたな。
フォッカー先輩にもよく買ってもらったっけ。飛行機乗るようになってからは、
訓練の後にうまく飛べると買ってくれたよ、それが楽しみで一生懸命操縦の
練習をしたもんだよ。」
「そうだったの。まるで鼻先に人参を下げられたウマみたいね。」
くすっと未沙が笑う。
「・・ウマはないだろう?!未沙はそういうことなかった?」
「ありません。・・お嬢様ですもの。」
言いながら、輝のビールに手を伸ばす。
「・・君だって飲むんじゃないか」
「2人で飲んだほうが、おいしいでしょ?」
いたずらっぽく、くすっと笑う。
その笑顔を輝はまぶしそうに見つめた。
そして、なにも言わずに後ろから未沙を抱きすくめる。
「・・なに?」
「・・ふふ、なんでもない」
そう言って、照れくさそうに彼女の体から離れた。

**

それからも忙しい毎日が続いた。季節は何時の間にか秋へと移っていた。

「ただいま~・・って、今日は未沙遅くなるって言ってたっけ・・」
テーブルの上に一枚のメモ。

『おかえりなさい。今日も遅くなりそうです。昨日おいしいコーヒーを
いただいたので、よかったら飲んでね。がんばってきます。みさ』

メールでもかまわないのに・・・と呟きながら、でもその手書きの文字が暖かい。
笑みがこぼれる。
「・・・それじゃいただきますか」

コーヒーをじっくりと淹れる。

未沙と結婚して、ハンドドリップをはじめて知り、今彼ははまっていた。
未沙は紅茶の方が好きらしいが、彼はコーヒーが好きだった。
それもゆっくりと手で淹れたものが。
湯を注ぎ、粉を蒸らしている間に立ち上る芳醇な香り。
ぽとぽとと、デカンタに落ちるしずく。
『そういえば・・』

食堂で早めの夕食を取っていたときに、後から入ってきたヴァネッサと
クローディアと一緒になった。
そのときにヴァネッサがこんなことを言っていた。
「一条少佐、最近早瀬中佐、お疲れじゃないですか?」
「そうだっけ?俺もしばらく会ってないから・・・」
「それが夫のせりふ?!相変わらずね、あなた」
クローディアが苦笑する。
「そんな、仕方ないじゃないですか。結婚したって言っても、
勤務スケジュールの都合ですれ違いばっかりですよ。」
「あら、そう。噂じゃ、あなたが夜寝かせてあげないから、
お疲れなんじゃないかって聞いたけど?」
おねえサマは意地悪だ。
輝は赤面した。噂の通りな訳はないが(たまにしか会えない訳だし)、
以前のように全否定できない。
「そ、それは・・・(ごにょごにょ)」
「ふふん、まあ、いいわ。でも、精神的にも体力的にもハードでしょうから、
あなたも寂しいかもしれないけど少しは休ませてあげなさいね。
以前の所属のままだったら、いくらでもスケジュール調整して2人の時間を
作ってあげられたのに、残念だわ~」
「ラサール中佐ったら・・・一条少佐固まってますよ。」
「私たちもできるだけ手伝って早く帰られるようにしてあげるから、
未沙を困らせないのよ」

『クローディアさんにかかると未だに俺って「坊や」扱いだよな・・』
まあ仕方ないか、と苦笑しつつ、カップに淹れたてのコーヒーを入れ、
ソファに座る。
一口すすると口一杯に芳醇な味と香りが広がった。
『うまい・・・。』
ため息が漏れた。
コーヒーと一緒に、未沙が一緒ならもっとうまいのにな、という言葉をぐっと呑込んだ。

輝が風呂から上がっても、まだ未沙は帰ってきていない。
もう11時を回っている。
妻の重責もハードワークも理解しているつもりだったが、
夕方のヴァネッサの一言もあり少し心配になる。
缶ビールを空けながら、輝はとつとつとメモに鉛筆を走らせた。

『ミサへ おかえり、お疲れサマ。コーヒーありがとう。うまかったよ。
今度時間が取れたら一緒に飲もう(ワインの方がいい?)
そういえば、今日晩飯のとき、ヴァネッサとクローディアさんと
一緒になって、久しぶりに話したよ。君が疲れてるみたいだって心配してた。
任務が大変なのはわかってるけど、体も軍人の資本だろ(笑)倒れる前に休みなよ。
じゃお休み。 輝 』

起きて待っていようかとも思ったが、輝も疲れていた。
メモを書き終わり、ビールを飲み干すと、ベットへ潜り込みすぐさま寝息をたてはじめた。

深夜1時過ぎにようやく未沙は帰宅できた。
輝はもう眠っているだろう。
『・・・だるい・・・。』
さすがに疲れた。でも、この疲れは今日に始まったものではない。
ここ数週間、未沙はずっと体のだるさを感じていた。微熱が続いているような感じ。
ぐっすり眠ったはずなのに、疲れがとれない。眠気がとれない。
いつもぼんやりしているような感覚があった。
とりあえず、眠ろう。
リビングに入ると、果たして輝は寝室で眠っているようだった。
テーブルに無造作に置かれたメモを見つける。
読み進めるうち、彼女の瞳にじんわりと涙がにじんできた。
照れ隠しに小さく書いてある、最後の一行に込められた彼のやさしさを感じて。

未沙は、実は、気がついていた。このだるさの原因を。
毎月きちんと彼女の体にやってくるものが、来ていない。
仕事が忙しいゆえ、体調を崩しているからだ、と自分に思い込ませていた。
もちろん、可能性がないわけはないのだけれど、メガロードの就航を
目前に控え、その可能性は否定したかった。彼女は艦長なのだ。
やるべきことは山のようにある。だから、考えたくなかった。
けれど、彼女の体に確実にその兆候が現れ始めた。
もう認めざるを得ないのかもしれない。
バスルームの鏡に映る自分の姿を見つめながら、無意識に体の変化を
確認しようとする。
まだ見た目にはなにも変わった様子はないのに。
おそらく、確実に、ここにはちいさな命がある。

『どうしようかな・・』
うれしいけれど、困ってしまうような・・この気持ちは誰がわかってくれるだろう。
ひとりでメディカルセンターへ行こうか。
クローディアに相談しようか。
・・・でも、最初に告げるのはやっぱり彼にしよう・・・。
『びっくりするかしら・・』
するわよね、きっと。
幸せな気分を邪魔するように、胃液が上がってくるような、嫌な感覚に襲われた。

翌日、輝が目を覚ますと既に未沙の姿はなかった。
代わりにメモと、簡単なサンドイッチが置いてあった。

『輝へ おはよう。昨日はお手紙ありがとう、とてもうれしかった。
 今日はなるべく早く帰ります。心配かけてごめんなさい。
今晩付き合って欲しいところがあるの。詳しくは後でメールします。
それじゃ行ってきます! p.s.スープはお鍋の中です みさ』

「付き合って欲しいとこってなんだろう?」
輝は首を傾げた。

その日の午後、輝がミーティングしているところに、
未沙からメールが入った。メールを待ちわびていた彼は
慌ててハンディフォンを開く。
『5時に私の勤務は終わります。あなたの勤務が終わり次第
司令センターに来てください。』
すぐに「了解」と返信する。
「何ですか?」
輝の手元を見て、部下が尋ねる。
「いや、ただの業務連絡」
事務的な言葉とはうらはらに、表情は暖かい。
マックスは見逃さなかった。
「艦長殿から、ですね。」
「まあ、な。そういうこと。さ、続き、続き。」

彼が司令センターに着いたのは、結局6時を過ぎた頃だった。
「あ、やっときたきた」
彼の姿を認めて、ヴァネッサが手招きをする。
「ごめん、遅くなって。艦長殿はどちら?」
「あちらでお休みです。夕べも遅くまで残ってらしたようで・・お疲れ様です」
未沙はソファに横になっていた。輝に気がつき体を起こす。
「大丈夫?こんな状態で出かけられるの?」
「ええ、行きましょう。」
「無理すんなよ。昨日の俺のメモ見なかったのかよ?」
「見たわ。・・とにかく、ここじゃなんだから、早く行きましょう。」
いぶかしげな顔をする輝を連れて足早に司令センターを後にする彼女を見て、
ヴァネッサも不思議そうにしている。
けれどクローディアは優しい笑顔で2人の後姿を見つめていた。


続く

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コメント

今日、リンクさせて頂きました、ありがとうございます。
また、寄らせてもらいます。

ありがとうございます(^^)

桜陰堂さん、こんばんは(^^)
コメントありがとうございます。目標にしていただくなんて・・畏れ多いですー(^^;)
でもありがとうございますm(_ _)m
桜陰堂さんのところには、わたくし実はちょくちょくお邪魔しております。
いつも楽しませていただいています♪

皆さんに楽しませていただいてばかりで、自分のブログはのんびりマイペースですが、
お付き合いいただければ・・・
気が向いたらまた感想などいただけると幸いです。

リンク喜んで(^^)
こちらもまた貼らせていただきますね。

ご無沙汰です、お元気ですか?
作品読ませて頂きました、二人の生活振りが違和感なく感じられます。
多忙だけど、幸せで、心の底から信頼し合ってる感じが抵抗無く僕の
中に入ってきます。
僕は後から入ってきて、SS経験も初めてでした。COWさんの文章の
書き方は僕が追いかける目標です(本当です)、続きを心よりお待ちし
てます。
※相当捻くれてるので、束の間、真面目になった時だけお邪魔します。
宜しく、お願いします。
P.S こちらのサイト、当方のサイトにリンクしてもいいでしょうか?
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