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Partners Epi.2

2008.09.02 10:28|Partners
Partners Epi.2

さすがの輝も、そのままではマズイと感じたらしく、慌てて彼女を追った。
「未沙、待てよ、・・ちょっと!」
輝を無視して、未沙は着替えるために寝室へと入っていった。
彼はそれでも必死に弁解を始めた。
「・・・本当にごめん。まさか、他の誰かに聞かれてるなんて思わなくて。
ましてや幹部の人に聞かれてるなんて思ってもなかったんだよ。」
「そりゃ、そうでしょうね。ごきげんでよっぱらってたんだったら、
すっかり回りのことなんて頭から飛んでるわよね。」
撥ね付けるように言い放ち、背を向ける。
「ごめん。・・でも、悪気はなかったんだよ、信じてくれよ」
背中から抱きしめ、耳元に囁く。
「今も、そうしながら私の反応を面白がってるんでしょう?嫌な人。放してよ!」
未沙は、輝を突き放してリビングの方へ行ってしまった。

一人寝室に取り残された輝は彼女の言葉を反芻した。
『他の奴に言われたことももちろんだろうけど、もしかして、
そういう話をしたこと自体を怒ってるんだな?』
頭を抱えた。
『そりゃそうだよな・・。そうなんだけどさ・・・。』
これまで、パイロット仲間の飲み会があるたび、未沙の話が出るたび、自分に話を振られるたび、
未沙の立場を考えて、彼女の話をすることを避けてきた。
本当は、言いたくて(自慢したくて)たまらなかったのだが。
特に、鬼だの、よくあんなコワイ人と結婚しましたね、だの、
隊長既に尻にしかれてるでしょ、だの言われるたびに。
違うね。お前ら知らないだけなんだよ、彼女の良さを。
俺だけしか知らない彼女がいるんだよ。
そう、言ってやりたいことが何度もあったが、ずっと我慢していたのだ。
それが、相手が気のおけないギャリーだけだったこと、また、確かに未沙に
指摘されたように、アルコールが入って気が大きくなっていたこともあって、
つい、抑制を外してしまった。
嬉しくて、回りの状況も考えずに、ベラベラと喋ってしまった。
そう説明したとしても、許してもらえるかどうか、自信はなかった。

着替えを済ませた未沙は、キッチンの窓から外を眺めていた。
既に日は落ちて、窓の外は真っ暗だ。
そろそろ夕食の支度をしなければ、と思いつつ、そんな気分ではなかった。
『・・・また、やっちゃった。』
とりあえず、お茶でも飲もう。
ポットに紅茶の葉を入れ、湯を注ぐ。
暖かい湯気が立ち上り、紅茶の香りが鼻をくすぐる。
少しだけ、意固地になっている心がほぐれたような気がした。

今日、打ち合わせの後に、常日頃から苦手な企業幹部に声を掛けられた。
どうせロクでもない話をしてくるのね、と思っていたらば案の定・・・
セクハラまがいの話をされた。
怒りを抑えつつ、どう話を終わらせようかと最後まで聞いていたら話の出所は
輝だというではないか。
ひどい。
そういう話は、2人だけの秘密だと思っていたのに。
他の人に話していたなんて・・・
男同士でそういう話をすることはあるだろうと、少しは思っていたものの
(パイロット同士でそういった話をするのは日常茶飯事よぉ、とクローディアからも聞いていたし)いざ、自分の話が夫の口から他人にされているのを聞くと、
かなりショックだった。
輝のことだから、しょっちゅうこんな話をしている訳ではないのだろう。
彼の言うとおり、悪気があってやったのではないことくらい、彼女にも分っている。
でも。
「はい、そうですか」と彼を許すことはできなかった。
かといってずっと怒りつづけるほどの怒りでもない。
どのタイミングで彼を許そうか、彼女自身どうしようかと考えてしまう。

輝がリビングへ戻ってきたようだ。
こちらの様子をうかがっているのが分る。
話しかけようか、でもどうしようか、という感じでこちらを見ている。
素直に許したくはない。でも、この微妙な雰囲気が続くのも嫌だ。
彼女は、しかし、自分からアクションを起こさなくてはこの状況を打開できないことも
経験上から知っていた。
『───もう。ほんとに仕方のない人・・。』
ふぅ、とため息をつくと、そっけなく話しかけた。
「・・紅茶、飲む?」
「もちろん」
予想通り、輝は嬉しそうに答え、彼女の側へ寄ってきた。
彼の言動に腹が立とうが、しょっちゅう喧嘩をしていようが、結局彼女は彼のことが
心底好きなのだ。大好きな彼の(まるで捨てられた子犬のような)哀しそうな顔を
ずっと見ていると、やっぱり助け船を出してあげたい気持ちになってしまった。
『とりあえず、言い訳を聞いてあげようかしら』
未沙は紅茶をテーブルに置くと、ソファに腰掛けた。
「輝。・・どうして、そういう話を他の人にしたの?」
紅茶をおいしそうにすすると、輝は答えた。
「・・話の流れで。でも、本当に今までこんな話他の奴にしたことはなかったんだ。
こないだは、相手がギャリーだったんで、つい・・。ほんとにごめん。」
また輝は謝った。
未沙は輝の謝罪には答えず、紅茶を一口飲むと尋ねた。
「ギャリーくんってその手の話、あまりしなさそうに見えるんだけど。」
「それが・・。あいつ、好きな子ができたらしいんだよ。
それで、俺に未沙との馴れ初めとか、なんで結婚したのか、とかいろいろ聞いてきてさ。」
そこまで話すと、輝はおいしそうにもう一口紅茶を飲んだ。
「・・好きな子、って彼女?あの子付合ってる人がいたの?」
「いや、まだ告白もしてないらしいんだけどな。」
自分の話に未沙が乗ってきたのがわかり、つい嬉しそうな声になる。
「・・ふうん。それで?」
未沙は、なんとか冷めた口調を維持しつつも、続きを期待している。
「未沙との結婚生活の話をしていたら、まあ、すれ違い生活だのの話になって。
ギャリーが前に、うちに何回か飯食いに来たことがあったろ?そのことをあいつが、自分のせいで
俺らの2人の時間を割いてもらって悪い、とか言うからさ」
ちょっと照れくさそうに髪をかきあげる。
「そんなことない、お前が帰った後でも充分2人の時間があるから、
心配しなくていい、って話をしたんだよ。それで、そういう話になっちゃってさ・・・。」
「・・・・」
未沙は赤面した。
『──なるほどね・・。』
なんだか怒っているのがバカらしくなってきた。
「でも、やっぱり店で喋ったのはいけなかった。
一応、艦長とか、中佐とかいう言葉は出さないようにしたんだけど、やっぱり分っちゃったか・・。」
彼なりに配慮をしたらしい。・・かもしれないが、全然足りてないじゃない!と心の中で突っ込みを入れつつ、
未沙は苦いため息をついてつぶやいた。
「・・・あなたを見れば分るわよね。」
「これからは絶対気をつけるからさ。今回は本当にごめん。」
輝はもう一度、本当にすまなさそうに謝った。
彼の一途な訴えについに折れた未沙は、ふっとため息をついて苦笑すると呟いた。
「・・・分りました。もう、いいわ。でも、これからはもう少し気をつけてよ。」
その言葉を聞いて輝が心底ほっとしたような表情で答える。
「ああ、よかった。許してもらえなかったらどうしようかと思ったよ」
「許さなかったらどうするつもりだったの?」
「許してもらえるまで謝るさ」
「他のやり方は考え付かないの?」
「他に?だって怒られたら謝るしかないだろ?」
『・・・ほんっとうに不器用な人・・』
彼女は半ばあきれてため息をついた。
そんな彼が大好きだった。

**

「未沙・・・」
ひとしきり愛し合った後、彼は彼女を抱きしめながら囁いた。
「なに・・・?」
潤んだ瞳で彼女は彼を見上げる。
「・・・かわいいよ」
優しい目で見つめられて、彼女は頬を染め彼の胸に顔をうずめた。
「そうだよ。」
そう、小さな声で呟くと輝は未沙の身体をもう一度ぎゅっと抱きしめた。
「怒っても、喧嘩しても。仕事してるときも、そうでないときも。
俺にとっては、どんな時の未沙も可愛い。
だから、ずっと一緒にいたいと思ったんだ。だから、結婚したんだ。」
未沙に言うわけではなく、まるで自分で再確認するように。
彼はギャリーに言った言葉をもう一度呟いた。
その言葉を聞いて、未沙は優しく輝にキスをした。
「・・・嬉しい」
そして、彼の胸に頬を寄せる。
「ね、輝。今度、私がお休みの時にギャリーくん、また呼んであげてね。」
「・・うん。あいつも喜ぶよ。」
そう呟いたあと、彼女の髪を優しく撫でた。
「ギャリーくんの好きな子の話、聞いてみたいわ。好きな人のことを想ってドキドキしたり、
自分のことをどう考えてくれてるのか、想像してみたり。好きな人ができるって
素敵なことよね。片思いが叶うかどうか・・・そのドキドキもいいのよね・・」
かつて自分達がそんな関係だった頃のことを思い出しているのだろうか。
未沙がうっとりとして呟いた。
「まあ、あいつが、そんなかわいらしいことを考えてるかどうかは分んないけどさ・・」
輝は呟きつつ、彼女のうなじに優しくキスをする。
「・・・あ・・・」
みるみる彼女の肌が桜色に染まり、細かく震えた。
彼はそんな彼女の耳もとに囁いた。
「俺は、今でも未沙にドキドキする」
「・・・そう?」
「うん。」
いたずらっぽい目線を返した未沙を輝はもう一度強く抱きしめた。

──2人の時間はまだまだ長く続きそうだった。



続く
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