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Partners Epi.3

2008.09.02 10:27|Partners
Partners Epi.3


それは2日前のことだった。

ギャリー・中溝少尉は、いつものようにパトロールを終え、報告書を持って司令センターに向かって歩いていた。
いつものことだが、司令センターへ向かう通路はたくさんの軍人が行き交っている。途中で打ち合わせをしている士官達もいる。交代時間の直後なのだろうか、自分と同じようなパイロット達も立ち話をしている。
『結構、人、多いよな、ここ・・・』
ギャリーはため息をついた。
長時間の飛行の直後だからかもしれないが、いいようのない疲労感を感じる。人の多さに酔ってしまったのだろうか。
『早く報告書だして控え室に戻ろう・・』
そんなことを考えながら歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「・・・なんのお話でしょうか?」
いらだたしげな、一条中佐の声だ。話している相手は・・・メガロード計画に参加している都市計画会社の重役ではないか。
「まぁまぁ、そんな怖い顔しなくてもいいじゃないですか。出航したら新しい地球の都市を共に作っていくパートナーじゃないですか、仲良くしましょうよ。」
その男はいやらしげに笑いながら言葉を続けた。
「私達の前ではそんなに融通がきかないのに、旦那さんの前では素直でかわいいんでしょ、艦長も。ききましたよー!この間。居酒屋でご主人酔って若い部下に大声で自慢されてましたよ。ちょっとくらいわれわれの前でもかわいいとこ見せてくださいよ。信頼関係あってこそ、仕事もスムーズに行くってもんでしょう」
『──この間の話のことだ!!!』
ギャリーは男の話を聞いてピン、と来た。
なんと、聞かれていたのか!よりによって中佐の天敵に!
これはまずい。
気になって耳をそばだてるが、男ほど大声で喋っているわけではない中佐の声をはっきりと聞き取ることができない。極めて冷静に、淡々とあしらっているようには見えるが表情が幾分引きつっているようにも見える。
『大丈夫かな・・・。』
「中溝少尉、何をしているんですか?」
「うわっ、わっ」
不意に声をかけられ、とっさに振り返るとそこにはルイーゼがいたずらっぽく笑いながら立っていた。
「なに覗き見してんのよ?・・・一条中佐じゃない。・・もしかしてギャリーったら、中佐のこと密かに憧れてたの・・?だーめよぅ、人妻なんだし、しかも彼女の夫は君の大好きな隊長でしょ、やめなさいって」
「ちょ、ちょっと黙れよ!ったく、勝手に話膨らますなよ・・。ほら、見ろよ。中佐、またからまれてるな、と思ってさ。こないだ隊長が心配してたから、ちょっと気になって」
話されてる内容が、自分がけしかけて暴露させてしまった内容なので気になってしょうがなかった、とは言えなかったがギャリーはそう彼女に説明した。
彼女─大きな瞳が印象的な闊達な彼女─は輝率いるメガロード航空護衛隊所属、ギャリーやギャリーの相方フェンデルと同期の女性パイロットだ。
ルイーゼ・ウィリス少尉。
彼女こそ、実はギャリーの想い人だった。

**

その日は結局、ルイーゼに声をかけられた後、未沙とオヤジがどんな話をして、未沙がどうあしらったのか見届けられなかったギャリーではあったが、それから2日間ずっと気にかかっていた。
なにせ、自分にも責任があることゆえ、このことが原因であの2人に何かあったら、と悶々としていたのだ。あの夫婦は仲はいいが、よく喧嘩することでも有名であった。
昨日隊長は非番だったので、ことの顛末がどうだったのか確認もできない。もとより、隊長が来ていたとしても、訓練スケジュールがタイトな中、そんなくだらない話を、いくらかわいがられているとはいえ自分から切り出すわけにもいかなかったかもしれないが。
けれど、やはり気になる。

『今日、訓練の後だったら聞けるかな・・・』
そんなことを考えながらパイロット控え室に向かって歩いている途中に彼は未沙とすれ違った。
『この時間にこんなところに中佐がいるなんて、珍しいな』
反射的に敬礼をする彼の傍らを微笑みながら敬礼を返して、未沙は通り過ぎて行った。
その表情は穏やかで、2日前の出来事など何もなかったようにさえ感じられた。
『隊長と喧嘩してるって感じじゃないな・・』
ギャリーは直感でそう思った。

控え室に入ると輝がいた。
「隊長、お疲れ様です。」
敬礼をするギャリーに輝も笑顔で敬礼を返した。
「今日もビシビシ鍛えてやるからな、覚悟しとけよ。」
そう言うと、こつんとギャリーの頭を小突いた。
今日の輝は妙に機嫌がよさそうに見える。
「あ、あの、隊長」
「なんだ?」
「あの・・・大丈夫でした?」
心配そうに上目使いで自分を見上げるギャリーに輝はいぶかしげに尋ねた。
「大丈夫って、何が?」
「僕、2日前に見かけたんです、中佐がメガロードの協力企業の方にいろいろ言われているのを・・。
それで、僕にもちょっと責任があるような気がして・・すみませんでした」
「ああ、そのことね」
ちょっと照れくさそうに頷きながら輝は答えた。
「おまえが気にすることじゃないよ、俺が言った事だし。──未沙には悪い事したけどな。」
「・・・・怒られたんですか・・・?」
聞きにくそうに、心配そうにギャリーがたずねる。
輝は大げさに頷いて、頭の上に指で角を立てた。
「そりゃあもう。怒ったら怖いの、知ってるだろ?鬼だよ、鬼」
「やっぱり・・!すみません、僕が余計なこと聞いたばっかりに」
ギャリーは心底申し訳なさそうに頭を下げた。
「おいおい、冗談だよ、確かに怒られたけど、ちゃんと謝って許してもらったから。ほら、夫婦喧嘩は犬も食わないって言うだろ。俺らには日常茶飯事なんだからそんなに気にするなって。・・それよりさ、おまえ次の土曜の夜あいてる?」
「?・・ええ、あいてますよ。訓練の後なら。」
「その日、未沙が非番だから、おまえらを食事に招待したいってさ。日曜は俺らの部隊は訓練が休みでちょうどいいしな。さっきその話をしにきてくれてたんだよ。休暇が取れたからって」
輝の言葉を聞いて、さっきまでの沈んだ表情がギャリーの顔から消え、ぱあっと笑顔になった。
「本当ですか?!うっわー、嬉しいです。お邪魔します・・・って貴重なお休みの日を、いいんですか?」
「いいんじゃない?言い出したの未沙の方だし。それに」
輝はそこで急に声を潜めて続けた。
「──おまえの彼女の話、聞きたいって言ってたぜ」
それを聞いてギャリーは頬を赤くした。
「そ、そ、そんな、だから、彼女じゃないですって・・」
「ま、そういうことだから予定しといてくれよ。よかったら、フェンデルとルイーゼにも声かけといてくれるか?」
『ル、ルイーゼも?!』
一瞬ドキっとしたが、隊長の提案を断るわけにもいかない。
「わ、わかりました。ありがとうございます。喜ぶと思いますよ」
「じゃ、そういうことで。さ、今日もビシビシいくぞー!」
微妙な笑顔で答えるギャリーの肩をポンと叩いて輝は格納庫へと去っていった。

**

「おはよう、輝。そろそろ起きて。」
未沙の声に目を覚ますと、芳しいコーヒーの香りが鼻をくすぐった。
「・・ん、ああ、・・・・おはよう・・。」
のそのそと起きだしリビングへ入ると、未沙が朝食の準備をしているところだった。
『そうか、今日未沙非番なんだ・・』
忙しくすれ違いの日々が続く中でも幾度と無く過ごしたこんな朝。
オフの彼女が、自分のために準備してくれる暖かい朝食。
いつものあわただしい朝のように、軍服にエプロンではなく、ホームウェアにエプロンで、ゆったりと準備をする彼女。
とても嬉しいはずなのに、まだこの状況に慣れなくて、なんとなく、はずかしいような、
場違いなところにいるような、そんな気持ちになってしまう。
呆けたようにパジャマのまま立ち尽くしている輝に未沙が不思議そうに声をかける。
「どうしたの?早く顔洗ってらっしゃい。コーヒーが冷めちゃうわよ」
「はいはい」
未沙の声に促され、輝はそそくさと洗面所へとむかった。

「今日、誰が来るの?」
「んー、ギャリーとフェンデルとルイーゼかな。」
「まあ。ウィリス少尉も来るのね。彼女ははじめてね。」
「ああ。一応、あれでも女の子だし。よろしくな、未沙。」
「あれでも、とは失礼ねぇ。・・でも、珍しいわよね。それまで飛行機に乗ったことがないのに、入隊後にオペレータでなくてパイロットを志願するなんて。」
「しかも女だぜ。なかなかいないよな。・・まぁ、あいつの場合、体力もあったし、カンもいいから訓練に脱落することもなかったけどな。」
輝の話を聞きながら、未沙はルイーゼの顔を思い浮かべた。
一度輝の部隊の新人を紹介されたときに会っているが、それ以外には何回か見かけた程度だ。
女性で前線に出て行くパイロットをわざわざ志願した、と聞くとミリアのようにゼントラ人なのかと最初思ったのだが、生粋の地球人で、しかも、ごく普通の女性だった。
大きい瞳が印象的な、若い女性。まっすぐ見つめた瞳には力があった。
「なにか目的でもあったのかしらね」
「さぁな。・・・それにしても、未沙、ほんとに今日いいの?」
「なにが?」
「久しぶりの休暇だろ?」
未沙は、なにいってるのよ、とくすりと笑った。
「みんながくるのは訓練の後でしょ?たいしたもの作るわけじゃないし、昼間はゆっくりさせてもらうから大丈夫よ。」
「そう。・・・それじゃ、楽しみにしてるよ」
輝はコーヒーを飲みながら、嬉しそうに微笑んだ。
そんな輝を、未沙は笑顔で見つめていた。
見慣れた軍服姿の、いつもの彼。なのに、少しだけ頼もしく見えるのはどうしてだろう。
バーミリオン小隊を任されたときも、マックスや柿崎という部下がいたのに、当時の彼は小隊長というにはまだまだ頼りなげであった。部下との関係も、隊長と部下、というよりは同僚、という感じさえして、管制官として見ていた未沙からすると、かなり危なげだった。
しかし、今はどうだろう。
部下達のことをしっかり考え、そして部下達にも慕われている。
どうしたら部隊がうまく動くか、常にきちんと考えている。
相変わらず、マイペースではあるが、以前のように他人の話を聞かずに突っ走ることはかなり少なくなってきた。
この数年のいろいろな出来事が、彼を大人にしたのだろう。
『彼と一緒ならきっと、大丈夫』
最近では、未沙はいろんな意味でこう思うようになっていた。

「おっと、そろそろ行かなきゃ。今日もパトロールと訓練と、スケジュールびっちりだからな。」
輝は時計を見上げ、椅子から立ちあがると、上着を着込んで、よし、というように背を伸ばした。
「それじゃ、行ってきます。」
「いってらっしゃい」
笑顔の未沙に見送られ、ちょっと照れくさそうな顔をしながら彼は家を後にした。


続く
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